マイホームの購入は、人生におけ…
家を建てるという大きな夢を叶えるとき、考えなければならないのがお金のことです。
特に、建物の費用だけでなく、その後に継続してかかる税金について不安を感じる方は少なくありません。
その代表格が、家を建てる 固定資産税の問題ではないでしょうか。
新築一戸建てを手に入れた喜びも束の間、毎年どれくらいの税金を支払う必要があるのか、その計算方法やシミュレーションが気になることでしょう。
また、固定資産税の支払いはいつから始まるのか、具体的な支払い時期についても知っておきたい重要なポイントです。
多くの方が、この固定資産税の評価額がどのように決まるのか、そして専門家による家屋調査とは一体何なのか、疑問に思っているかもしれません。
さらに、土地と建物で税金の扱いが違うことや、都市計画税という別の税金も関係してくるため、全体像を掴むのは容易ではありません。
しかし、ご安心ください。
固定資産税には、負担を軽くするための軽減措置が用意されており、これらを賢く活用することで、税額を安くする方法が存在するのです。
この記事では、家を建てる際に避けて通れない固定資産税について、その仕組みの基本から具体的な節税方法まで、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。
あなたのマイホーム計画が、税金の不安なくスムーズに進められるよう、全力でサポートいたします。
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この記事で分かる事、ポイント
- 家を建てる固定資産税の基本的な仕組み
- 固定資産税評価額の決定プロセスと家屋調査
- 具体的な税額の計算方法とシミュレーション例
- 新築住宅に適用される軽減措置の詳細と条件
- 固定資産税の支払いが始まる時期と納税の流れ
- 都市計画税と固定資産税の関連性
- 税負担を賢く抑えるための具体的な方法
家を建てる 固定資産税の基礎知識と計算方法
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この章のポイント
- まずは固定資産税評価額の決まり方を知る
- 具体的な計算方法と税率について
- 我が家はいくら?税額シミュレーション
- 納税はいつから?支払い時期と流れ
- 土地と家屋で税額が変わるポイント
まずは固定資産税評価額の決まり方を知る
家を建てる 固定資産税について考えるとき、すべての基本となるのが「固定資産税評価額」です。
この評価額がどのように決まるのかを理解することが、税額を把握するための第一歩となります。
固定資産税評価額とは、簡単に言えば、市区町村(東京23区の場合は都)が決定する、その土地や家屋の「価値」のことです。
この評価額を基に、あなたが支払うべき固定資産税の金額が算出される仕組みになっています。
では、この重要な評価額は、一体誰がどのように決めているのでしょうか。
固定資産評価基準に基づく評価
評価額の算定は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」という全国共通のルールに基づいて行われます。
これにより、どの市町村でも公平な評価が行われるようになっています。
具体的には、市町村の職員(固定資産評価員)が、この基準に沿って個別の不動産を一つひとつ評価していくのです。
土地と家屋では評価の方法が異なるため、それぞれ分けて見ていきましょう。
土地の評価額の決まり方
土地の評価額は、主にその土地の「時価」を基準に決められます。
具体的には、国が定める公的な土地価格である「公示価格」の約70%が評価額の目安とされています。
評価は、道路に面する宅地の価格(路線価)を基に計算する方法(市街地宅地評価法)や、近隣の土地の売買価格などを参考にする方法が用いられます。
土地の形状、面積、道路への接道状況なども評価額に影響を与える要素です。
家屋の評価額の決まり方
新築の家屋の場合、評価額は「再建築価格」を基準に算出されます。
再建築価格とは、評価対象となる家屋と全く同じものを、評価の時点でもう一度新築した場合にかかる費用を指します。
具体的には、家屋調査によって、屋根、外壁、内装、設備などにどのような資材や設備が使われているかを確認し、固定資産評価基準に基づいてそれぞれの点数を付けていきます。
この合計点数に、物価の変動や設計管理費などを考慮した補正を加えて、再建築価格が算出されるのです。
つまり、豪華な設備や高品質な建材を使っている家ほど、評価額は高くなる傾向があります。
また、家屋の評価額は、新築時が最も高く、年数の経過とともに価値が減少していく「経年減価」が考慮され、3年に一度の見直し(評価替え)の際に少しずつ下がっていくのが一般的です。
このように、固定資産税評価額は、国が定めた統一基準に基づき、土地と家屋それぞれの特性に応じて個別に算出されています。
この評価額が、あなたの納税通知書に記載される税額の根拠となっていることを覚えておきましょう。
具体的な計算方法と税率について
固定資産税評価額の決まり方がわかったところで、次に気になるのは、その評価額から実際に支払う税額をどのように計算するのかという点でしょう。
家を建てる 固定資産税の計算は、基本的な計算式さえ覚えてしまえば、決して難しいものではありません。
ここでは、具体的な計算方法と、税率について詳しく解説していきます。
固定資産税の基本計算式
固定資産税の税額は、以下の計算式によって算出されます。
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率
この式に出てくる「課税標準額」と「税率」が、計算の鍵を握る2つの要素です。
一つずつ見ていきましょう。
課税標準額とは?
「課税標準額」とは、税額を計算する際の直接の基礎となる金額のことです。
原則として、前述の「固定資産税評価額」と同じ金額になります。
しかし、住宅用地の特例や新築住宅の軽減措置といった、税負担を軽くするための特例が適用される場合は、評価額から一定額が差し引かれます。
その結果、課税標準額は固定資産税評価額よりも低い金額になることがほとんどです。
つまり、課税標準額は、税金の軽減措置を反映した後の、実質的な課税対象額と言えるでしょう。
標準税率は1.4%
「税率」は、課税標準額に対して掛け合わせる割合のことです。
地方税法によって、固定資産税の標準税率は「1.4%」と定められています。
これは、多くの市区町村で採用されている標準的な税率です。
ただし、固定資産税は市町村税であるため、市町村の判断でこれとは異なる税率(制限税率である2.1%を超えない範囲)を条例で定めることも可能です。
財政状況が厳しい市町村などでは、1.5%や1.6%といったように、標準税率より高い税率を設定している場合もありますので、家を建てる地域の税率を事前に確認しておくと安心です。
市町村のウェブサイトや税務課などで確認することができます。
計算式のまとめ
以上のことをまとめると、家を建てる 固定資産税の計算の流れは以下のようになります。
- 市町村が土地と家屋の「固定資産税評価額」を決定する。
- 評価額に、住宅用地の特例などの軽減措置を適用して「課税標準額」を算出する。
- 課税標準額に、市町村が定める「税率(標準1.4%)」を掛けて、最終的な「固定資産税額」を計算する。
例えば、課税標準額が2,000万円で税率が1.4%の場合、年間の固定資産税額は「2,000万円 × 1.4% = 28万円」となります。
この計算式を基本として、後述する様々な軽減措置がどのように影響してくるのかを理解していくことが重要です。
我が家はいくら?税額シミュレーション
固定資産税の計算方法がわかっても、実際に自分の家の場合、年間でどれくらいの税金を支払うことになるのか、具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。
そこで、ここではいくつかのモデルケースを用いて、家を建てる 固定資産税の概算額をシミュレーションしてみましょう。
あくまで一般的な例であり、実際の税額は建物の構造や設備、土地の場所などによって大きく異なりますが、大まかな目安として参考にしてください。
なお、シミュレーションにあたっては、以下の条件を前提とします。
- 固定資産税の税率は標準税率の1.4%
- 都市計画税も課税される地域(税率0.3%)と仮定
- 新築住宅の軽減措置、住宅用地の特例を適用
シミュレーションケース1:一般的な木造2階建て住宅
まずは、比較的多く見られるケースで計算してみましょう。
- 土地:面積150㎡、評価額1,800万円
- 家屋:木造2階建て、延床面積120㎡、評価額1,200万円
【土地の税額計算】
住宅用地なので、課税標準額の特例が適用されます。
- 課税標準額:1,800万円 × 1/6 = 300万円
- 固定資産税:300万円 × 1.4% = 42,000円
- 都市計画税:1,800万円 × 1/3 = 600万円 → 600万円 × 0.3% = 18,000円
- 土地の税合計:60,000円
【家屋の税額計算】
新築住宅の軽減措置(3年間)が適用され、税額が1/2になります。
- 固定資産税(軽減前):1,200万円 × 1.4% = 168,000円
- 固定資産税(軽減後):168,000円 × 1/2 = 84,000円
- 都市計画税:1,200万円 × 0.3% = 36,000円
- 家屋の税合計:120,000円
【年間の合計税額】
土地60,000円 + 家屋120,000円 = 180,000円
このケースでは、新築から3年間は、年間の固定資産税・都市計画税の合計が約18万円となります。
シミュレーションケース2:長期優良住宅の場合
次に、住宅の性能が高い「長期優良住宅」の認定を受けた場合で考えてみましょう。条件はケース1と同じとします。
長期優良住宅の場合、家屋の固定資産税の軽減措置が適用される期間が3年間から5年間に延長されます。
そのため、新築から5年間の税額はケース1と同じく年間約18万円となります。
6年目以降は家屋の軽減措置が終了するため、税額が上がることになります。
税額の目安を簡単につかむには
詳細なシミュレーションは専門的な知識が必要ですが、大まかな目安を知りたい場合、以下の方法があります。
- ハウスメーカーや工務店に尋ねる:過去の建築実績から、似たような条件の物件の固定資産税額を教えてもらえることがあります。
- 不動産会社のチラシやサイトを見る:物件情報に、年間の固定資産税額の目安が記載されている場合があります。
- 市町村の税務課に相談する:建築予定地の情報や建物の概要を伝えれば、概算額を教えてもらえる可能性があります。
家を建てる 固定資産税は、住宅ローンとは別に毎年かかり続ける重要な費用です。
家づくりの計画段階で、おおよその税額をシミュレーションし、将来の資金計画にしっかりと組み込んでおくことが大切です。
納税はいつから?支払い時期と流れ
家を新築した場合、固定資産税の支払いは具体的にいつから始まり、どのような流れで進んでいくのでしょうか。
住宅ローンの返済開始時期とは異なるため、納税のタイミングを正しく理解しておくことは、資金計画を立てる上で非常に重要です。
ここでは、家を建てる 固定資産税の納税が開始される時期と、年間の支払いスケジュールについて解説します。
課税の基準日は「1月1日」
固定資産税の大きな特徴は、その年の1月1日(賦課期日)時点での所有者に対して課税されるという点です。
つまり、1月1日に土地や家屋を所有している人が、その年度(4月1日から翌年3月31日まで)の固定資産税を納める義務を負います。
この「1月1日時点」という基準日が、納税開始時期を考える上での鍵となります。
新築の場合、納税は翌年度から
例えば、2025年10月に家が完成し、引き渡しを受けたとします。
この場合、翌年の2026年1月1日時点では、あなたは新しい家屋を所有していることになります。
そのため、この新しい家屋に対する固定資産税が課税されるのは、2026年度からということになります。
つまり、家が完成したその年からすぐに納税が始まるわけではなく、完成した翌年度から支払いがスタートすると覚えておきましょう。
土地については、家を建てる前から所有していれば、その土地に対する固定資産税はすでに支払っているはずです。
家が建つことで、住宅用地の特例が適用され、翌年度から土地の固定資産税は安くなるのが一般的です。
納税通知書はいつ届く?
納税義務者には、毎年4月から6月頃にかけて、市区町村から「納税通知書」が送付されてきます。
この通知書には、課税の根拠となった固定資産税評価額や課税標準額、そして年間の税額などが詳しく記載されています。
また、年間の税額を分割で支払うための納付書も同封されていますので、内容をよく確認しましょう。
新築した家の場合は、完成した翌年の4月から6月頃に、初めてその家屋に対する納税通知書が届くことになります。
支払い時期と方法
固定資産税の支払いは、年4回に分割して納めるのが一般的です。
納期は市区町村によって異なりますが、多くの場合、以下のようになっています。
- 第1期:6月末
- 第2期:9月末
- 第3期:12月末
- 第4期:翌年2月末
もちろん、第1期の納期限までに年税額を一括で支払うことも可能です。
支払い方法は、納税通知書に同封されている納付書を使って、金融機関やコンビニエンスストア、市町村の窓口などで支払うのが基本です。
最近では、口座振替やクレジットカード払い、スマートフォン決済アプリなどに対応している自治体も増えており、より便利に納税できるようになっています。
家を建てる計画を立てる際には、建物が完成した翌年の春頃から固定資産税の支払いという新たな支出が始まることを、あらかじめ念頭に置いておくことが大切です。
土地と家屋で税額が変わるポイント
固定資産税は、土地と家屋という2つの異なる資産に対して課税されます。
そして、この土地と家屋では、評価額の決まり方や税額の変動の仕方に大きな違いがあります。
家を建てる 固定資産税の全体像を正しく理解するためには、この土地と家屋それぞれの税金に関する特徴を把握しておくことが重要です。
ここでは、両者の違いが税額にどのように影響するのか、そのポイントを解説します。
評価額の考え方の違い
まず根本的な違いとして、評価額の算出基準が異なります。
- 土地:主な基準は「時価」です。その土地が持つ本来の価値が評価のベースとなります。地価の変動に連動するため、景気が良くなれば評価額も上がり、税額が増える可能性があります。
- 家屋:主な基準は「再建築価格」です。その建物をもう一度建てたらいくらかかるか、という費用が評価のベースです。そのため、使用している建材や設備のグレードが評価額を左右します。
価値の変動(減価)の違い
資産価値の経年による変動も、土地と家屋で大きく異なります。
- 土地:土地は使用しても消耗するものではないため、原則として経年劣化による価値の減少(減価)はありません。むしろ、周辺地域の開発などによって地価が上昇し、評価額が上がることも少なくありません。
- 家屋:建物は年数の経過とともに劣化していくため、経年減価が考慮されます。新築時が最も評価額が高く、築年数が古くなるにつれて評価額は下がっていきます。これを「経年減価補正」と呼びます。木造住宅の場合、一般的に25年から30年ほどで評価額が新築時の20%程度まで下がり、それ以降はほぼ横ばいになります。
この違いにより、固定資産税の長期的な推移は、「土地の税額は比較的安定(または上昇)、家屋の税額は徐々に減少」という傾向を示すことが多くなります。
軽減措置の違い
適用される主な軽減措置も、土地と家屋で異なります。
- 土地:住宅が建っている土地(住宅用地)には、課税標準額を大幅に引き下げる「住宅用地の特例」が適用されます。これにより、更地の状態よりも税額が最大で1/6にまで軽減されます。この特例に期間の定めはありません。
- 家屋:新築住宅には、一定期間、固定資産税額そのものが1/2に減額される軽減措置があります。期間は一般の住宅で3年間、長期優良住宅では5年間です。この期間が終了すると、家屋の税額は本来の額に戻るため、急に税金が上がったように感じることがあります。
まとめ:土地と家屋の税金ポイント
これまでのポイントを以下の表にまとめます。
項目 | 土地 | 家屋 |
---|---|---|
評価の基準 | 時価(地価に連動) | 再建築価格(建材や設備) |
価値の変動 | 原則、減価しない | 経年により減価する |
主な軽減措置 | 住宅用地の特例(期間なし) | 新築住宅の軽減措置(期間限定) |
長期的な税額推移 | 安定的または上昇傾向 | 減少傾向 |
このように、家を建てる 固定資産税は、性質の異なる土地と家屋、それぞれの税金が合わさったものです。
特に、家屋の軽減措置が終了するタイミング(4年目や6年目)で年間の総支払額が大きく変動することを、あらかじめ理解しておくことが大切です。
家を建てる 固定資産税で損しないための軽減措置
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この章のポイント
- 新築住宅の軽減措置の内容と適用条件
- 意外と知らない都市計画税との関係
- 税額が決まる家屋調査の注意点
- 固定資産税を安くする方法と裏ワザ
- 家を建てる 固定資産税の知識まとめ
新築住宅の軽減措置の内容と適用条件
家を建てる際に最も気になるのが、固定資産税の負担をいかに軽くできるかという点でしょう。
幸い、新築住宅に対しては、税負担を大きく軽減するための特例制度が設けられています。
この軽減措置を正しく理解し、確実に適用を受けることが、賢い資金計画の鍵となります。
ここでは、家を建てる 固定資産税において最も重要な「新築住宅の軽減措置」と「住宅用地の特例」について、その内容と適用条件を詳しく解説します。
新築住宅の建物に対する軽減措置
新しく建てられた住宅の家屋(建物)部分にかかる固定資産税は、一定期間、税額が2分の1に減額されます。
これは、住宅建設を促進し、国民の居住水準の向上を図ることを目的とした制度です。
減額される期間は、建物の種類によって異なります。
- 一般の住宅(3階建て未満の耐火・準耐火構造でないもの):新築後3年度分
- 3階建て以上の耐火・準耐火構造の住宅(マンションなど):新築後5年度分
- 長期優良住宅の認定を受けた住宅:新築後5年度分(マンションなどは7年度分)
例えば、一般的な木造2階建ての住宅であれば、新築後の3年間、家屋の固定資産税が半額になります。
この軽減措置を受けるためには、以下の適用条件を満たす必要があります。
- 床面積の要件:居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること。(一戸建て以外の貸家住宅の場合は40㎡以上280㎡以下)
- 居住用の住宅であること:専用住宅や、家屋全体の床面積の2分の1以上が居住用である併用住宅が対象です。
この軽減措置は、あくまで家屋に対する固定資産税のみが対象であり、土地の固定資産税や、都市計画税には適用されない点に注意が必要です。
住宅用地の土地に対する特例措置
住宅が建っている土地(住宅用地)に対しても、税負担を軽減するための強力な特例があります。
これは、居住の安定を図るための制度で、課税標準額を大幅に引き下げる効果があります。
軽減の内容は、土地の面積に応じて2段階に分かれています。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):固定資産税評価額の6分の1を課税標準額とする。
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分):固定資産税評価額の3分の1を課税標準額とする。
例えば、250㎡の土地であれば、200㎡分は評価額の6分の1、残りの50㎡分は評価額の3分の1がそれぞれ課税標準額となります。
この特例は、新築住宅の軽減措置とは異なり、適用期間の定めはありません。
住宅が存在し続ける限り、継続して適用されます。
そのため、更地のまま土地を所有しているよりも、住宅を建てた方が土地の固定資産税は格段に安くなるのです。
申請は必要?
これらの軽減措置を受けるために、原則として納税者からの特別な申請は不要です。
家を新築すると、法務局への建物表題登記や、市町村への課税のための届出が行われます。
市町村はこれらの情報に基づいて、軽減措置の適用要件を満たしているかを確認し、自動的に税額計算に反映してくれます。
ただし、長期優良住宅の軽減措置を受ける場合は、建築後、一定期間内に市町村へ申告が必要となる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
家を建てる 固定資産税を考える上で、これらの軽減措置は絶対に知っておくべき知識です。
特に、家屋の軽減期間が終了する4年目や6年目には税額が上がることを念頭に、長期的な視点で資金計画を立てることが重要です。
意外と知らない都市計画税との関係
固定資産税について調べていると、「都市計画税」というもう一つの税金の名前を目にすることがあります。
この都市計画税は、固定資産税とセットで課税されることが多く、家を建てる 固定資産税の総額を考える上で無視できない存在です。
ここでは、都市計画税とはどのような税金なのか、固定資産税との関係性や計算方法について解説します。
都市計画税とは?
都市計画税は、その名の通り「都市計画事業」や「土地区画整理事業」の費用に充てるために課される目的税です。
具体的には、道路の整備、公園や緑地の造成、下水道の整備など、快適で機能的な街づくりを進めるための財源として使われます。
この税金は、すべての市町村で課税されるわけではありません。
都市計画法で定められた「市街化区域」内に土地や家屋を所有している場合にのみ、課税対象となります。
家を建てる場所が市街化区域に該当するかどうかは、市町村の都市計画課などで確認することができます。
固定資産税との関係
都市計画税は、固定資産税と同じく市町村税であり、課税の対象となる資産も固定資産税と全く同じです。
そのため、納税の手続きも固定資産税と一緒に行われます。
毎年送られてくる納税通知書には、固定資産税と都市計画税のそれぞれの税額が記載されており、その合計額を納付することになります。
つまり、市街化区域内に家を建てる場合、実質的に「固定資産税+都市計画税」が年間の税負担となるのです。
都市計画税の計算方法
都市計画税の計算方法も、固定資産税と非常によく似ています。
基本的な計算式は以下の通りです。
都市計画税額 = 課税標準額 × 税率
課税標準額は、固定資産税の課税標準額と同じです。
土地については、固定資産税と同様に住宅用地の特例が適用されますが、軽減割合が異なります。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):固定資産税評価額の3分の1
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分):固定資産税評価額の3分の2
税率は、市町村が条例で定めますが、上限が「0.3%」と定められています。
多くの市町村で、この上限である0.3%が採用されています。
注意点:新築住宅の軽減措置は適用されない
ここで非常に重要なポイントがあります。
前述した「新築住宅の軽減措置(税額が3年間または5年間、2分の1になる制度)」は、固定資産税にのみ適用され、都市計画税には適用されません。
したがって、新築であっても、家屋にかかる都市計画税は初年度から満額で課税されることになります。
この点を勘違いしていると、想定していたよりも年間の税額が高くなってしまう可能性があるため、注意が必要です。
家を建てる場所を選ぶ際には、その土地が市街化区域内にあるかどうかを確認し、都市計画税の負担も考慮に入れた上で資金計画を立てることが、後々の安心につながります。
税額が決まる家屋調査の注意点
新築の家屋に対する固定資産税額を決定する上で、避けて通れないのが「家屋調査」です。
これは、市区町村の職員が実際に家を訪問し、建物の構造や仕様を確認する重要なプロセスです。
この調査結果が、固定資産税評価額、ひいては税額そのものを左右するため、どのようなことが行われるのかを事前に知っておくことは大切です。
ここでは、家を建てる 固定資産税の根拠となる家屋調査の内容と、調査当日の注意点について解説します。
家屋調査の目的と時期
家屋調査の目的は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づき、その家屋の評価額を算出することにあります。
職員は、建物の内外を実際に見て、どのような資材が使われ、どのような設備が設置されているかを細かくチェックし、評価額の計算に必要な情報を収集します。
調査の時期は、家が完成してから1~3ヶ月後くらいに行われるのが一般的です。
建物の完成を法務局への登記などで把握した市区町村の資産税課(固定資産税課)から、所有者宛に調査協力依頼の連絡(電話や文書)が入ります。
そこで、所有者と調査員の日程を調整して、訪問日が決まります。
調査当日の流れと所要時間
調査当日は、市区町村の職員(通常は2名1組)が訪問してきます。
職員は身分証明書を提示しますので、必ず確認しましょう。
調査の所要時間は、建物の規模にもよりますが、おおむね30分から1時間程度です。
主な流れは以下の通りです。
- 書類の確認:建築確認申請書や工事請負契約書、建物の図面(平面図、立面図など)の確認を求められます。事前に準備しておくとスムーズです。
- 聞き取り調査:建築時期や費用、所有者情報などについて簡単な質問があります。
- 内部調査:職員が各部屋を回り、内装(壁、床、天井の仕上げ材)、建具、建築設備(キッチン、浴室、トイレ、空調など)を確認します。収納の中まで細かく見ることは通常ありません。
- 外部調査:建物の外周を回り、屋根や外壁の仕上げ材、基礎の種類などを確認します。
調査でチェックされる主なポイント
評価額、つまり税額に影響するのは、主に建物の構造や仕上げ材、設備のグレードです。
評価基準では、項目ごとに点数が定められており、グレードの高いものほど点数が高くなります。
- 屋根:瓦、スレート、ガルバリウム鋼板など
- 外壁:サイディング、タイル、モルタル、ALCなど
- 内装:壁(クロス、珪藻土、タイル)、床(フローリング、クッションフロア、無垢材)、天井の仕上げ
- 設備:システムキッチンの大きさや機能、ユニットバスのサイズ、トイレの数や機能、床暖房、ビルトインエアコン、太陽光発電システムの有無など
家屋調査における注意点
- 立ち会いは義務:家屋調査は地方税法に基づく調査であり、所有者には協力する義務があります。正当な理由なく拒否することはできません。
- 正直に回答する:税金を安くしたいからといって、虚偽の申告をしたり、設備を隠したりすることは絶対にしてはいけません。後で発覚した場合、追徴課税などのペナルティが課される可能性があります。
- 過度な心配は不要:調査員は、あくまで評価基準に沿って淡々と評価を行うだけです。高圧的な態度を取ったり、プライベートな部分に踏み込んだりすることはありません。
- 図面は必ず用意:図面がないと、職員が全ての箇所を実測することになり、調査時間が長引いてしまいます。スムーズに進めるためにも、建築確認関連の書類一式は必ず手元に用意しておきましょう。
家屋調査は、あなたの家の価値を公的に評価してもらうための大切な機会です。
誠実に対応し、正確な評価をしてもらうことが、適正な納税につながります。
固定資産税を安くする方法と裏ワザ
毎年支払う必要のある固定資産税は、家計にとって決して小さな負担ではありません。
だからこそ、「少しでも安くする方法はないだろうか」と考えるのは当然のことです。
家を建てる 固定資産税を合法的に抑えるためには、制度を正しく理解し、計画段階からいくつかのポイントを意識しておくことが有効です。
ここでは、固定資産税を安くするための具体的な方法や考え方について、いくつかの視点からご紹介します。
1. 軽減措置を最大限に活用する
最も基本的かつ効果的な方法は、これまで説明してきた軽減措置を漏れなく適用させることです。
- 新築住宅の軽減措置:床面積の要件(50㎡以上280㎡以下)を満たすように設計する。
- 長期優良住宅の認定を受ける:建設コストは上がりますが、固定資産税の軽減期間が延長されるほか、住宅ローン控除や不動産取得税でも優遇があります。長期的な視点でメリットを比較検討しましょう。
- 住宅用地の特例:土地の固定資産税を大幅に下げるこの特例の恩恵を最大限に受けることが重要です。
2. 家屋の評価額を意識した家づくり
家屋の固定資産税は、その評価額に比例します。
つまり、評価額が高くなる要因を避けることで、税額を抑えることができます。
- シンプルな形状にする:凹凸の多い複雑な形状の家よりも、総二階のようなシンプルな箱型の家の方が、評価額は低くなる傾向があります。
- 建材や設備を標準的なものにする:豪華な大理石の床、総タイル張りの外壁、グレードの高いシステムキッチンやユニットバスなどは、評価額を押し上げる大きな要因です。こだわりたい部分と、標準仕様で良い部分のメリハリをつけることが大切です。
- 延床面積を抑える:当然ながら、家が大きければ大きいほど評価額は高くなります。本当に必要な広さを見極め、コンパクトな設計を心掛けることも節税につながります。
3. 家屋調査への備え
家屋調査で、実際には設置していない設備を誤って申告したり、図面に記載されたままになっていたりすると、過大に評価されてしまう可能性があります。
例えば、図面上はビルトインエアコンだったが、実際には壁掛けエアコンにした場合などは、調査の際にきちんと伝えることが重要です。
裏ワザ的な考え方
いわゆる「裏ワザ」として語られるものもありますが、脱税につながるような違法な方法は論外です。
ここでは、制度の仕組みを利用した考え方をいくつか紹介します。
- 1月1日をまたがない登記:固定資産税は1月1日時点の所有者に課税されます。もし年の後半に家が完成した場合、登記を年明けの1月2日以降に行えば、その年の家屋の固定資産税は課税されない、という考え方です。しかし、住宅ローン控除の適用や金融機関との契約など、様々な兼ね合いがあるため、安易に行うことは推奨されません。専門家とよく相談する必要があります。
- 納税通知書のチェック:これは節税というよりは、払い過ぎを防ぐための重要なチェックです。納税通知書が届いたら、記載されている土地の面積や軽減措置が正しく適用されているかなどを必ず確認しましょう。万が一、誤りがあった場合は、市町村に問い合わせることで税額が修正される可能性があります。
家を建てる 固定資産税を安くするための最も確実な方法は、家づくりの計画段階から税金のことを意識し、専門家であるハウスメーカーや工務店の担当者とよく相談することです。
目先のデザインや設備だけでなく、将来にわたるランニングコストまで含めたトータルな視点で、賢い家づくりを目指しましょう。
家を建てる 固定資産税の知識まとめ
これまで、家を建てる 固定資産税に関する様々な情報を見てきました。
評価額の決まり方から、具体的な計算方法、支払い時期、そして税負担を軽くするための軽減措置や節税のポイントまで、多岐にわたる内容でした。
最後に、この記事の総まとめとして、固定資産税という制度と賢く付き合っていくための心構えと、重要なポイントを再確認しましょう。
家を建てることは、多くの人にとって一生に一度の大きな買い物です。
その夢のマイホームで長く快適に暮らしていくためには、住宅ローンだけでなく、固定資産税というランニングコストを正しく理解し、計画に組み込んでおくことが不可欠です。
「税金」と聞くと、つい難しい、面倒だと感じてしまうかもしれません。
しかし、その仕組みを知ることで、漠然とした不安は解消され、具体的な対策を立てることができるようになります。
特に、新築時に適用される軽減措置は、国が用意してくれた非常に有利な制度です。
この恩恵を最大限に活用しない手はありません。
また、軽減措置には適用期間があることも忘れてはならない重要なポイントです。
家屋の固定資産税が半額になる期間が終了する4年目や6年目には、年間の税負担が大きく増えることをあらかじめ知っておけば、家計の計画も立てやすくなります。
慌てずに対応することができるでしょう。
家づくりにおいては、デザインや間取り、性能といった目に見える部分だけでなく、この固定資産税評価額という視点も加えることが、長期的に見て賢明な選択につながります。
どの設備にコストをかけるのか、どのような構造にするのか、一つひとつの選択が将来の税負担に影響してくるのです。
もちろん、税金を安くすることだけが家づくりの目的ではありません。
家族が快適に、そして安心して暮らせる住まいを実現することが最も大切です。
そのためには、専門家であるハウスメーカーや工務店、税理士などとよく相談し、ご自身のライフプランや価値観に合った最適なバランスを見つけることが重要となります。
この記事で得た知識が、あなたの家づくりにおける税金の不安を少しでも和らげ、夢のマイホーム計画を後押しする一助となれば幸いです。
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この記事のまとめ
- 家を建てる固定資産税は土地と家屋の両方にかかる
- 税額は課税標準額に税率を掛けて計算される
- 税額の基礎となる固定資産税評価額は市町村が決定する
- 家屋の評価は再建築価格を基に行われ豪華な家ほど高くなる
- 家屋の価値は経年により減価し税額も徐々に下がる
- 固定資産税の支払いは家が完成した翌年度から始まる
- 納税通知書は毎年4月から6月頃に届き年4回に分けて支払う
- 新築住宅は家屋の固定資産税が3年間または5年間半額になる
- 住宅が建つ土地は特例により税額が大幅に軽減される
- 長期優良住宅の認定を受けると税の優遇期間が長くなる
- 市街化区域内では都市計画税も併せて課税される
- 税額を決める家屋調査には誠実に対応する必要がある
- シンプルな設計や標準的な設備は節税につながる
- 軽減措置が終了するタイミングで税額が上がることを知っておく
- 税金の知識を身につけ計画段階から対策することが最も重要